「宣誓っ!
……俺は、 何があってもお前より一分、 一秒でも長く生きることをここに、 誓いますっ!」
これまでの短くはないが長いとも言えない半生、 銀時はあまりに多くのものを失い過ぎた。
仲間だとか絆だとか、 矜持だとか…… そんな青臭い、 それでもきっと必要だったものたち。
新八がこれからの生で失うもの。
それを少しでも僅かなものにするためならどんなことでもしてのける覚悟があった。
何よりも愛しいから。
例え、 己が新八を失っても。
だから、 誓ってみた。
「……奇遇ですね、 僕もアンタより先に死ぬ気はありませんから。 安心して僕より先に死んでくださいね。」
幼いうちに大切な人を失った新八もまた、 考えは同じだった。
記憶には残せなかった、 それでも確かに与えられていたはずの愛情。 平穏や団欒。 いくつかはきっと、 取り戻せた。 愛しきものによって。
だから、 銀時には何一つ失って欲しくはない。 だって何よりも大切なのだ。
例え、 己が銀時を失っても。
失っては取り戻した。 互いの空虚を埋めあっては共有した。 生まれたものを育んだ。
二人で築いた心は強大で、 同等。
仕方なく、 互いを守りあって生きることを二人で誓った。
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
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俺が生まれて初めて、 全てを投げ打ってでも手に入れたいと思ったのは、 ただの地味な駄眼鏡だった。
決死の思いで手に入れたのは、 やはりただの駄眼鏡だった。
いつの間にか何より大切になってしまっていた駄眼鏡だった。
こいつだけは失うわけにはいかない。
どうしたらあいつを手放さずに済むんだ。
―誰も答えてはくれなかった。
欲しいと思ったもの、 大切だと思ったもの。
それらの大部分は奪われてきた。 心無い人たちに、 僕を取り巻く環境に、 己の無力に。
残ったものはもう何一つ手放したくない。 それでもきっと時が来たらどれも僕の傍から発っていくものばかりだった。
だけど、 どうかこの人だけは奪わないでください。
―誰に祈るでもなくただ、 願った。
「新八ィ、 膝枕ァ。」
「……今はダメです。」
「あァ? 何ケチくせーこと言ってんだ。 オラ、 社長命令だ。 膝貸せ。」
「あっ! ちょっ……、 もォ、 止めてくださいよ。 嫌ですってば!」
拒絶の言葉に耳を貸さず、 銀時は新八の膝に頭を乗せた。 眼前にある腹に顔を埋める。
日頃鍛錬を欠かさないのだろう、 新八の腹部は綺麗に引き締まっている。 それでも子供特有の肌の柔らかさ、 体温は着物の上からでも伝わってきた。
そのままの体制で拘束するように腰に手を回し、 胴体の細さを再確認。
鼻から肺いっぱいに空気を吸い込んだ。
新八の体臭。
この妙に安らぐ匂いの素が酸素と共に赤血球に乗って、 体中を駆け巡ればいい。 俺のヘモグロビンはきっとこいつを受け入れる。
髪の毛の一本一本、 足の爪先に至るまで充足感が染み渡る。 じわりじわり、 融けだしそうだ。
―くぅー、 きゅるるるぅ……
「…………悪ィ、 腹減ってた?」
「だから嫌だって言ったのにっ!」
空腹を告げる腹の音ごと味わおうと、 更に深く息を吸った。
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